宮島夜の顔役
宮島への船の最終便。
桟橋に到着するとこんなに乗っていたんだとちょっとびっくりするくらいの乗客達も各々の家路に帰る訳で。
行く宛ての無い僕だけがポツネンと残されてしまった訳で。
とりあえず肩に食い込む荷物を下ろそうと藤棚の東屋のベンチに腰掛けました。
駅?港前には人っ子一人居なくてたまに人影か?と思うと宮島名物放し飼いの鹿。
まだまだ宵の口ですがしーんと静まり返った旅館街を厳島神社に向かって歩きます。
ザッザッザッと砂を噛む靴の音が鳴るたびにドキドキしています。
こんな時間にデカイ荷物を持った得体の知れない若者がフラフラしていたらお巡りさんじゃなくても不審に思います。
それにしても風一つない穏やかな夜。
打ち寄せる波の音、係留した舟が揺れて擦れる音、
雲間から覗く月光り。
ライトアップされた石燈籠の道の先に大鳥居。
出来過ぎた映画のセットのような夜。
追伸、港待合所の軒下でこの記事を書いています。
ガサガサ!
カララン!
やば!職員の見回り!?
ドキドキしながら身体を起こして柱の陰から覗くと、
やっぱりオマエらか!!
鹿!!
宮島の夜は鹿が幅をきかせているのでした。
0:05 | 店主 | その他   

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