ひまわり保育園の絵本棚6

あの日、ひまわり保育園を襲った津波は一階部分を飲み込み、給食室も園庭も、うさぎ小屋もブールも教室も水に沈み、多くのものを押し流し、沢山あった絵本も全部流されてしまいました。
笑顔を見せる子供達もまた、忘れたくても忘れられない経験をし、変わり果てた光景を見ています。
僕たちは石巻が一番大変だった時期を知りません。
今に至る迄、震災直後から、現地に入り泥を掻き出し、流れ着いた瓦礫を黙々と撤去してくれたボランティアの方や地元の方、保育園の再開を目指し、諦めずに闘った佐藤先生をはじめ、ひまわり保育園の皆さんの苦労と頑張りがありました。
震災直後、
「変わり果てた保育園を見て、これはもう、到底再開するなんて無理」
そう佐藤先生は思ったそうです。
でも、毎日全国から駆けつけた50人以上のボランティアの人達がただ黙々と泥を掻き瓦礫を片付けてくれ、
「次は何をしましょう!何処を片付けたらいいですか?」
ボランティアの方達の熱意と勢いに引っ張られ、背中を押されるがまま、それは佐藤先生達が悩み立ち止まる暇もない程のスピードでひまわり保育園の復興は進んで行きました。
綺麗になっていく保育園を目にするうちに、頑張ろう!一日も早く再開しよう!
そういう気持ちにさせてくれたのだそうです。
あの時ボランティアに来てくれた人達がたまに来訪しては綺麗になり、笑い声の戻った保育園を見て喜んで帰っていくとのこと。
この震災から後、
教訓や、悲劇、試練からの成長、学びを説く人がいます。
僕は大っ嫌いです。
そんな耳触りのいい言葉で丸く収まるような悲しみや苦しみなんかじゃない。
そんなものの為に神様が用意したものなら冗談じゃないよ。
石巻を訪れて心の底からそう思いました。
でも、この場所には、沢山の善意をきっかけに間違いなく、
かけがいのない人と人との繋がりが生まれています。
そして、訪れた誰もが本当に大切なものに改めて気付かされます。
それもきっと、本当のこと。
帰り際、
佐藤先生が園庭を案内してくれました。
芝生の緑が鮮やかな広い庭。
大量の土砂と瓦礫、流されてきた何台もの車で地面が見えなかったなんて嘘みたい。
庭の隅の花壇に目がいきました。
「植えた覚えないのよ。多分、去年の種が残っていたのかな?」
それはお日様に向かって元気に咲く一輪の大きな向日葵でした。
絵本棚に腰かけ、絵本を手にする子供達の心に希望の種が植えられたらイイなとあの場所にいた全員が思いました。
復興にはまだまだ長い時間がかかるかもしれません。
目に見える復興は勿論、大切なのは目には見えない心の復興。
ひまわり保育園の子供達、黄金浜、渡波地区の子供達の「心の復興」のお手伝いをしていきたいと思いました。
放浪書房の仲間達、ホンノチカラを支えてくれた皆さん、また、沢山の人のお力を借りることになりそうです。
その時はどうぞよろしくお願い致します。
最後に、絵本棚のプレゼントにお声をかけて下さった早稲田大学芸術学校 佐藤貴彦様、峰子様、お仲間の皆さん。くらげ書房様、本当にありがとう。
ホンノチカラに本を寄付してくれた皆さん、子供達の元にちゃんと届きました。
そして、ひまわり保育園の子供達、生きててくれて本当にありがとう。
平成23年8月4日
向島 鳩の街 井戸端古本マーケット「ふるほん日和」「ホンノチカラ」主催 放浪書房店主
富永浩通
ふるほん日和ブログ
http://furuhonbiyori.seesaa.net/index-2.html
東京新聞Web版
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20110720/CK2011072002000021.html
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