”あの本屋”は”街”なのだ。
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う〜ん、
”あの本屋”に着いたものの、どうしたらいいんだっけ?
ものの本には、「入場料500円払う」とか「事務所で一声かけて鍵を開けてもらう」とか書いてあったような…
ホームページ見ようにも携帯圏外だしな…
ルールが分からずに、オロオロしていましたら奥の建物から赤いエプロン姿の男性が現れました。
「おはようございます!本見せてもらいたいんですけど…」
「おお☆おはよう。もう店開いてるだろ?」
どうやら、入場料も入店許可も要らないらしいので、店前のベンチにリュックとキャリーカートを立てかけて、中に入ります。
「いらっしゃいませ」
入ってすぐにレジカウンターがあって店番の女性がいます。
軽く挨拶を交わして本棚に目を移したら、先程の男性が入って来ました。
「こんなデカイ荷物持ってどっから来たの!?」
千葉から高速バスと鈍行乗り継いで来た事、泊まりはキャンプを予定していてその為の道具がリュックに入ってる事を説明しました。
「俺はまた外国にでも行くのかと思ったよ!」
「千葉からって、もしかしてメールくれた人?!」とはカウンターの女性。
連休中の休業日と営業時間の問い合わせをしていたのでした。
とりあえず、お二人に名刺渡して(一応)同業者である事を打ち明けます。
男性にどこに泊まるか聞かれて、さすがに野宿とは言いだし難く、地図で近くにあった「青少年自然村」のキャンプ場に泊まるつもりと話すと
「自然村まではだいぶ歩くぞ!途中坂もあるし、この荷物じゃなぁ。カミさんが車使ってなきゃ乗せてくんだけど」
いやいや、そんなお世話になるわけいかないッス(-.-;)。
それに、夕方迄本を見て、暗くなったら川沿いの空き地かなんかで野宿しようと思ってました。
とてもじゃないが言えないよな…
「まぁ、何とかなると思うんで…」とお茶を濁して、本を物色していると
再度赤いエプロンの男性が戻って来ました。隣には物腰柔らかなジャケットの男性。
「おーい、お兄ちゃん、この人が青少年自然村まで車で送ってくれるからさ☆」
何とこの男性こそ”この本屋”ならぬ”この街”の代表の吉津さん。
せっかくのご厚意を有り難くお受けしてキャンプ場まで乗せていってもらいました。
テント張ってからまた戻る事を約束して。
9:38 | 店主 |