誕生日プレゼント
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僕はその日、
二つの本屋さんに行きました。
あそこは楽しい!
品揃えも、棚作りもひと味違うんだよ!
雑貨もいっぱいあって素敵だよね!
知り合いの誰もが絶賛する京都の個性的な新しい本屋の代名詞。
ずっと行きたいと思っていたのに
時間が無かったり、
道に迷ったり、
やっと来れました!!
小さな無人駅に降りる人達。
同じ方向に歩いて行きます。何だか、その本屋さんに吸い寄せられているみたい。
小さな商店街の人の流れも。
その一軒の本屋さんを中心に街が呼吸をしているようです。
うわぁ、店の前にはお客さんの自転車がいっぱいだぁ☆
さぁ、入ろうぜ!!(>_<)
とみー!!
あれ見て!!凄いよ!!☆
その本屋さんの前の屋根付きの駐車場を指さす優ちゃん。
振り返ると入口にハタハタと白い幟が揺れていました。
旅する本屋・・・
へぇー放浪書房とおんなじだ・・・
あ、牛のイラスト・・・
可愛い・・・牛?・・・
旅する本屋・・・
え?
嘘・・・
心臓がトクントクン・・すぐにバクバクに変わります。                       まさか、こんな所で出会えるなんて。                               頭ん中真っ白になるって                         こういう事なんだ                            何が起こったのか分からない。                                  どうする?見てみる?☆
優ちゃんがいたずらっぽく笑っています。
ありこちゃんも、みなちゃんも、ニヤニヤ笑ってます。
皆、知ってたの!?
まさか、ゆうたろうまで!?
あれ?
ゆうたろう?
好奇心のカタマリの彼はトコトコとその不思議な本屋さんに近寄って行きます。
状況がイマイチ把握出来ないまま、彼を追いかけて中に。
その本屋さんはトラックを改造して作った移動式の古本屋さん。                   「旅する本屋」その名前の通り放浪書房の憧れの大先輩。                                  ずっと、ずっと行ってみたくて、
でも気恥ずかしくて、放浪書房を始めてからは同じ「旅する本屋」を名乗るのかが何だかおこがましくて。                        お客さんとしてではなくて同じ「旅する本屋」として会いたかった。                             旅の空の下                               いつか、どこかの街角でバッタリ。
                        
その「旅する本屋」に出会えるのを本当に楽しみにしていました。
それがまさか今日なんて
心の準備が出来てません。
誕生日とクリスマスがいっぺんにやって来ちゃったような。
大先輩の棚を眺めながら、心ここにあらず。
僕は別の事を考えていました。
ていう事は・・・まさか・・・まさか・・ね?
ドキドキしながら裏に回りこむと
居た・・他のスタッフと一緒に木の椅子に腰掛けている。
居た。
居た!
この旅する本屋の店主で、執筆家。僕の大好きな本を書いた人。                               こんにちは☆
その一言が出ない。
目を合わせないように、気が付かないふり。
本を選んでいてもタイトルなんて頭に入らず、そのヒトの事を視界の端っこにロックオン。
大きなリュックだね☆何処から来たの?
ハイ!!市内からです!!でも家は千葉で京都には店を出しに来てるんです!!実は僕も本屋やっているんです!!旅する本屋「放浪書房」と言います!!旅の本をキャリーカートに乗せて旅先で売ってるんです!!はじめまして!僕は店主のとみーです!!
中目黒のお店には一度行った事あります!!
「くちぶえサンドイッチ」愛読してます!!あの本の中の「旅する本屋」を読んでなかったら、今の僕はいません!!
あ、これ名刺です!!
どうぞ!!
なんて、もし声かけられたらどうしよう☆よし! イメージトレーニングはOK!!いつでも来〜い!!
とみー!落ち着いて。
営業時間4時までだから、一度クールダウンしてまた来ようよ。
う、うん!そうする・・・(¨;)
ねーとみー☆                  
なんだい?ゆうたろう                          オシッコ・・・                             オシッコ!?( ̄▽ ̄;)ちょっと待てよー!!我慢しろよー!!トイレ何処だぁ〜!?(>_<)                              帰り道。
頭はまだ、ぼんやり。だって、クールダウンに入った本屋が恵文社じゃ火に油を注いじゃうようなもの。                                     ありこちゃん、松浦さん背が高かったよね。びっくりしたよ。
え?何言ってんの。とみーよりも小さかったよ。
え?本当だって!!後でデジカメの写真見てごらんよ。
本当に?凄く大きく感じた・・・                                 旅する本屋を始めて一年。
その日僕は、憧れの本屋さん「恵文社一乗寺店」と憧れの旅する本屋さん「カウブックス」に行きました。
そして憧れの松浦弥太郎さんに逢いました。
情けない話だけど、
頭の中真っ白で、
どんなお店でどんな本が置いてあったのか思いだせないんです。
blog用の写メール撮るのさえ忘れる始末。
でもね、
これだけははっきり覚えてます。
握手した時の松浦さん手の感触。
大きくて温かい、優しい手でした。
僕もあんな手をした本屋になりたいと思いました。
追伸、松浦弥太郎さんの随筆「くちぶえサンドイッチ」
僕が世界で一番好きな随筆です。
もう何冊買ったか分からないのに、
みんなプレゼントしてしまって
なぜか手元に残らない本。
それでいい。それがいい。                        皆、放浪書房一年目の誕生日プレゼント。
素敵な二つの本屋さんとの出会い☆どうもありがとう☆
11:52 | 店主 |