黄色い空
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不思議な夕暮れの真ん中にいました。
朝から降ったり止んだりの雨が止み、分厚く立ち込めていた雲がやっと薄らいで空が明るくなりました。
深夜のバイトの仕度を済ませて家を出ると
外の風景が薄く色付いています。
遠く遠くどこかの空の夕焼けのオレンジ。
それを薄く薄く希釈して薄雲に溶け出したような黄色い空。
子供の頃食べたラムネの包みの色セロファン。空に透かして見ているような黄色い空。
草も樹も電柱も道路のアスファルトも、向かいのてっちゃんの家の白壁も黄色く染まっています。
黄色は見てる間も少しずつ希釈されているようで、見る間にセピア色に、そしていつもの雨空に戻りした。
青紫の空、遠雷。
二十歳の時に旅した東北を思い出します。
梅雨明けを迎えぬまま8月が来て、こんな空の色をいまいましく思いながら自転車をこいでいました。
陽気で開け広げで温か過ぎる四国の後で、東北はどこか白々しくてとっつき難く感じたのは若かったからかな。
何かの拍子にね、
いつかの旅の空を思い出すようになりました。
前は次の旅、次の旅とガツガツしてたから想い出すという行為にあまり意識が向かないんでしょうか。
反芻して、味わい直す旅の想い出が歳を重ねるにつれ増えて行きますね。
何だかイイもんですよ。
あ、そうそう、放浪書房ららぽーと店が8月上旬移転に伴いチョッピリ拡大してリニューアルオープンする事になりました。
詳細はまた。
21:30 | 店主 | その他